『ワンちゃん』 楊逸

ワンちゃん

ワンちゃん

ああ、もっと日本語がうまければ!とやっぱり
思ってしまったのだけれど、芥川賞受賞作よりずっとたのしめた。
日本人にとって興味ある題材を(といっても、中国人とのお見合い
結婚だけど)中国人の視点で描けるアドバンテージを
うまくいかしていたと思う。厳密には★3つ半くらいかな。
こむずかしいことを言わなくても、
ワンちゃんという、読み手が思わず応援したくなるような、
一生懸命生きてきたひとりの中国人女性の健気な
キャラクターがいきいきとしていて魅力があってよかった。
たくましくて、さびしい。そんな話。
収録されていたもう一編もやっぱり同じように
心がざらざらしてしまう話で、わたしはもう
楊逸はこれでおしまいかなという感じ。